良い音で聴いたら「欲しい!」ってなるし、
レコ屋にいる意味がある。
葛原:この店で取り扱うジャンルは、ヒップホップ、R&B、テクノ、ハウス、ディスコ、ドラムンベース、レゲエ、その他、の計8種類と極力シンプルな構成にしようと。そうすればスタッフがあまり手を加えずに済むし、時間ができて仕事を楽しめると思うので。
Licaxxx:4つ打ちと並列で他のジャンルが置いてあるのは嬉しいです。だいたい4つ打ちが少ないか、4つ打ちしかないレコ屋がほとんどだと思うから。
DJ SHIKISAI:若いDJの方ほどジャンルに境界線がない傾向があると思うので、自分が普段触れていないジャンルもこのお店で気軽に試聴してみてほしいですね。
周りに12インチを買っている人はいますか?
Licaxxx:人によると思いますね。ただ、あまり年齢とかに差はなくて、新旧問わず昔からDJやっている人でもレコードでやらない人もいれば、始めたばかりだけどレコードでやっている人もいます。でも、DJ以外の人となるとまだ伝わりきってない感じはしますね。
DJ SHIKISAI:DJではないお客さんは、まず山下達郎さんや松任谷由実さんなどのアルバムに行くと思うんですけど、若い世代のDJでもレコードでプレイする人が増えてきた気はしますよね。
Licaxxx:一時期よりは全然増えていると思います。私がDJを始めたころは周りにレコードが皆無になり始めた時代だった気がするので。
葛原:なぜ復活してきているんでしょうか?
Licaxxx:いまはCDJで何でもできるから、逆につまらなくなってきているというか。あとは、CDJを買うよりターンテーブルを買うほうが安いからという理由もあると思いますね。「DJを始めるときに何から買ったらいいですか?」ってよく聞かれます。
葛原:なるほど。売る側にとっては意外とそういうことが分からないので面白いですね。じつは、このお店ではプライスを表示しないで、A(1,100円)、B(550円)、C(110円)と分けて、値段を見ずに楽しくレコードを買えるようにしようと思っているんです。
「これいくらだろう?」と考えずにサクサク買えるように。C(110円)だけを見る人も1,000円持っていけばそれなりに楽しめるし、敷居を下げようかなと。
Licaxxx:個人的には値段も雰囲気も含めて、初めての人が入りやすいレコード屋があればいいなと思っていたので嬉しいです。コンビニエントな雰囲気が出過ぎるのは嫌なんですけど、とはいえ、何か買わなきゃいけないんじゃないかとか、試聴の仕方が分からないとか、その不安を一個でも解消してあげると新しいお客さんが増えるのかなと感じます。
葛原:ちなみに、誰も喋っていないお店よりも、スタッフ同士がお喋りしていた方が入るときに気楽ですか?
Licaxxx:たしかにその方が入りやすいかも。お店に来てくれたお客さんや仲間と喋っていてもいいですし。「今日はあの人いる!」ってなった方が楽しいと思います。あと、スピーカーの音もしっかり出ていると嬉しいですね。試聴しているレコードの音が聴こえないくらい(笑)。ヘッドフォン以外に良い音を聴ける場所って少ないと思うし、良い音で聴いたら「欲しい!」ってなるし、レコ屋にいる意味があるというか。スタッフさんのオススメも知ることができるし、そこから会話も生まれるのかなと。